AGE年齢べつ

〈よしこ先生の子育てあるあるQ&A〉Q. 文字の学習、早いうちからやっておくほうがいいの?

A.  小学校に入学してから困らないように先回りをした学習をさせておきたいという親心もあることでしょう。

 

けれど、発達心理学の研究に基づくと、4、5歳の時期に「詰込み型」の学びをする弊害についても知っておくことが大切です。

 

5歳半ぐらいになると、頭の中に思い描ける量(短期記憶)が増えますが、それでもまだ「大人の半分」の量です。

 

そうした時期に、文字を書いたり、漢字や単語を覚えることばかりに注力してしまうと、豊かな発想力がやせ細ってしまうことがあるのです。

 

たとえば、文字の書き順ばかり指導していると全メモリーがそのことだけに費やされてしまいます。

 

ある実験では、5歳半ぐらいのお子さんが口頭では壮大な物語を話したのですが、それを書いてもらうと情報量が10分の1ぐらいに減ってしまうという事例がありました。

 

お子さんの豊かな発想をしぼませることなく文字の学習を進めるためには、まずは文字を覚えさせるのではなく、話をすることを促してあげましょう。

 

今日の出来事、空想の物語と、お子さんがお話になりたいことを自由に話してもらうのです。

 

それをママやパパが、「ひらがな」で書き取っていきます。

 

大人が文字にしているのを見ながら、お子さんは話している言葉が文字になることを学んでいきます。

 

そして「自分もあんな風に文字を書いてみたい」と真似をしたくなりますし、自然と文字を覚えていくのです。

 

さらには、文字で話した言葉が残せるのだという「文字の役割」までも自ずと理解できるようになるのです。

 

 

〈回答監修者〉沢井 佳子

(一社)日本こども成育協会 理事

認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。
お茶の水女子大学大学院修了。発達心理学専攻。

幼児教育番組『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、
静岡大学情報学部客員教授等を歴任。チャイルド・ラボ所長。
幼児教育シリーズ『こどもちゃれんじ』(ベネッセ)、
幼児教育番組『しまじろうのわお!』(テレビ東京系列)等を監修。
人工知能学会「コモンセンスと感情研究会」幹事。
日本子ども学会常任理事